そのオモチャ、本当に買ってあげていいの?
ガリー・バフォン (著), 遠藤 公美恵 (翻訳)
間違ったお金の与えられ方や物質的な豊かさによって、行動や性格がゆがめられてしまい、生きていくための重要な能力が損なわれてしまう「シルバースプーン症候群」について書かれた書籍です。
著者はアメリカの方ですが、本書の内容は日本人にも当てはまると思います。
モノに満たされてほしいものは何でも手に入る豊かな暮らしが、本当に子どもの幸せに繋がるのか、興味深い内容でした。
現代社会は少子化が進み、共働きで忙しい家庭が多いため、子どもはほしいモノがあれば何でも買ってもらえる時代になりました。
子どもの成長のために愛情と時間を使うことが難しくなっている現代社会において、モノを買い与えることでまぎらわせた弊害が、我慢ができずやる気や意欲がなく、金銭管理もできない子どもにしてしまうということがよく分かりました。
昨今問題になっている炎上動画も、自尊心が欠落した子どもが成長して起こしたことで、こういった考え方が影響しているのではないかと思います。
このシルバースプーン症候群の処方箋として、
・必要以上にモノを与えない(必要性の法則)
・モノではなく愛情を与える(愛情の法則)
・努力して手に入れさせる(平等の法則)
・金銭管理のスキルを身に付けさせる(金銭教育の法則)
・親が身をもって示す(模範の法則)
と、問題に対する具体的な対応が解説されていたのもよかったです。
さらに、もっとも大切な原則として、
・子どもの、あるいは親の物欲を満たすことよりも、子どもの心を満たすことを優先する
という考え方はとても共感できました。
子育ての目的が
「自分の力で人生を歩んでいくすべを身につける手助けをすること」
だとすれば、親は子どもに様々な経験や失敗をさせて、逆境に立ち向かったり、我慢したりする能力を身に付けさせることが親の大事な仕事だと思います。
・必要不可欠な「要求」と際限のない「欲求」は区別しなければならず、必要以上の贅沢品は制限する
・一緒に過ごしたり、学んだり、考えたり、安心感を与える環境が必要
・あえて手を貸さないことで自分でがんばる力を育む
という内容も勉強になりました。
子どもがいる・いないに関わらず、多くの大人に読んでほしい一冊でした。
そのオモチャ、本当に買ってあげていいの?