わからなくても、こころはある(日本評論社)
山登敬之
自閉症や発達障害など、主に子どもたちの精神医療に携わってきた山登先生の温かくて優しい空気が随所に感じられました。
ADHDだから、自閉症だから、と安易に診断して画一的な治療をするのではなく、子ども一人ひとりに関心を向け、その声に耳を傾ける姿勢を見せるという考え方はとても共感できました。
また、親に病気や治療を説明するときも、単に分かりやすさだけを考えるだけでなく、分からなくてもどうやったら安心できるかを考えたいという、そんな考え方も好きでした。
アルペルガー障害を抱える綾屋さんがご自身で書いた自閉の定義が分かりやすかったです。
「身体内外からの情報を絞り込み、意味や行動にまとめあげるのがゆっくりな状態。
また、一度できた意味や行動のまとめあげパターンも容易にほどけやすい」
最近は脳科学の研究で様々なことが分かってきたといわれていますが、今では発達障害と言われている子どもたちは昔も大勢いて、そんな中でもやんちゃ坊主だとか言われてなんとかやっていた。
世の中全体が不寛容になって、腕白な子どもには不利に働いてすぐに障害児扱いされてしまう。
そんな社会で子どもたちとどう向き合うのか、学びの多い一冊でした。
わからなくても、こころはある—発達障害・不登校・思春期のミカタ