先日、いたばし鍼灸マッサージ推進機構で開催された学術勉強会に参加しました。
「鍼灸師である精神科医に学ぶ 精神疾患患者への対応」という内容で、医師の森川すいめい先生が講師でした。
テーマは「オープンダイアローグ」です。
これは、1980年代からフィンランドの西ラップランドにあるケロプダス病院でおこなわれている対話型の精神療法です。
「開かれた対話」による治療で、入院や薬剤を極力使用せず、統合失調症やうつ病、引きこもりなどの症状に大きな成果をあげているそうです。
本勉強会では、まず「聴く」と「話す」を分けることを体感しました。
二人でペアを組んで、一方が5分間話す、もう一方は聴く。聴くほうは頷きも最小限で質問もしない。これを交互にやってみる。
やってみて思ったのは、自分が話す5分は長く感じたけれど、相手の話を聴く5分は短く感じたということ。
つまり、「聴く」ことに注力すれば、案外短時間でも十分相手の言いたいことを聴くことができるのです。
鍼灸マッサージ治療において、よく時間が足りないと思うことがありますが、それは余計な質問をしているからで、ただ聴くだけなら時間はかからないことに気付けました。
次に、オープンダイアローグの特長の説明がありました。
・本人のいないところで本人のことを決めない。(本人にとって開かれた場であること)
・本人と家族、関係者を全て巻き込んで行い、全員が発言をする。
・参加者全員が平等の立場であり、対等の関係である。
・相手のことを決め付けない。(私とあなたは違う存在であるから、あなたがどんなことを考えているかは聴かないと分からない)
・専門家は二人以上用意する。専門家が一人だと力関係が生まれて専門家の意見が優先されてしまう。二人いれば患者さんが選ぶことができる。
オープンダイアローグは、人と人との関係性の回復を目的としていて、自分の中だけに閉じずに周囲の人間を巻き込んでいきます。
日本では導入されているところはまだ少ないようですが、今後広まっていく可能性があると思います。
オープンダイアローグでやっている内容を今の臨床にどう生かしていくか考えていきたいです。