医療経済の嘘(ポプラ新書)
森田洋之
医療費と健康の関係について、具体的なデータを使って解説されていて、説得力がありました。
財政破綻で病院がなくなっても問題が起きなかった夕張市。
「地域の絆(きずな貯金)、命を受け止める市民意識、生活を支える医療」
という3つの考え方が市民の幸福の実現の背景だったのではという著者の意見には共感できました。
日本人の死因上位から感染症が後退し、がん、脳卒中、心疾患などの「完全には治らず長く付き合っていく病気」が増えたことにより、膨張を続ける国民医療費。
高齢になってくると、医療で解決できないこともたくさん出てくるにも関わらず、その部分を医療で解決しようとすると幸せな世界から遠ざかっていくのではないか。
胃ろう、気管切開、中心静脈栄養など、医学的な正解で患者を支配、管理して、強制的に決めるのではなく、患者さんの思いにどう寄り添っていくのか、患者さんの味方になってよりよい人生を支援するにはどうしたらよいのかを考える医療。
これからの医療を考えるきっかけになる良書でした。
医療経済の嘘 (ポプラ新書)