前回のブログに続いて「福祉用具専門相談員」に関する話です。
2回目は「福祉用具専門相談員」の研修の内容を紹介いたします。
まずは基本的な概要をテキストを用いて座学で学習しました。
講師は、作業療法士、看護師の方で、テキストの内容だけでなく、実際にご自身が仕事で困った経験やご家族の介護のこと、福祉用具の活用事例などを話して下さいました。
起居(寝返りや起き上がり)、移乗、移動、床ずれ、排泄、入力、食事、更衣、整容、コミュニケーションなどで使われる福祉用具やその活用方法を学びました。
また、福祉用具サービス計画書作成や用具の選定、その後のモニタリングなど、実際に福祉用具を導入するにあたっての一連の流れを実際にやってみる演習もありました。
福祉用具というと介護が必要な高齢者が使うことが多いのですが、障害がある子供や大人向けの補装具や日常生活用具にどんなものがあるのか、どうやって使うのかといった話もありました。
また、介護というのは多職種連携が重要だという話を繰り返ししていました。
医者、看護師といった医療職や、理学療法士、作業療法士などのリハビリ職、ケアマネージャ、社会福祉士、介護福祉士、ヘルパーといった介護職、それ以外にも病院や保健所、地域包括センターとの連携も必要です。
福祉用具専門相談員もその一員であり、みんなで支えながら、患者さんが暮らしていた地域で生活していけるようにしていくことが重要だという話でした。
他にも高齢になると心身がどう変化していくのか、家族関係や社会保障制度がどう変わってきたのか、今後どんなことが危惧されるのか、など医療や介護を中心とした社会全体の在り方の話もありました。
実技ではまず始めに、高齢者の体の状態を理解するために、重りや耳栓、アイマスク、サポータなどを使って立ち座りや歩行、階段昇降など、動いてみることを体感しました。
その後、介護ベッド、車いす、杖、スライディングシート、ポータブルトイレなどを実際に操作したり、使ってみたりしながら機能や操作、注意事項などを学びました。
講習は7日間で最終日は修了評価テストがあり、56問の内、7割以上正解なら合格という基準でした。
講習を通して思ったのは、たんに福祉用具に詳しくなればよいということではなく、介護全体の流れを理解したり、他の職種がどんなことをしているのか知ったり、患者さんが何を望んでいるのか把握するなど、患者さんを取り巻く周囲との関係性や全体感を認識することの重要性です。
これから益々高齢化が進む現代社会において、いかに多職種や地域社会で連携していけるか、自分にできることと他の人にお願いすることをきちんと切り分けたうえで役割分担ができるか、患者さんとのよい関係性を築いていけるか、今回の講習を通して改めて考えるきっかけになりました。