どのくらい治療に通うのか その1

よく治療を受けた患者さんから、

「どのくらい治療に通えばよいですか?」

と聞かれることがあります。

この質問にお答えするのは非常に難しいです。

なぜなら、患者さんの年齢や既往歴、生活習慣、症状の段階によって回復度合いも異なりますし、患者さんの目的、患者さんと治療者の相性によっても異なるからです。

例えば、腰が痛いとお見えになった患者さん。
20代の患者さんと70代の患者さんではやはり回復力が違います。
腰が痛いのがまだ回復していないのに運動をしたり、動き回ったりする生活を送っていればせっかく良くなってきた状態が悪化することもあります。

過去に椎間板ヘルニアの手術をしたことがある方や、糖尿病、肥満を患っている方なども回復が遅くなることがあります。

五十肩でお見えになった患者さん。
夜間に寝る時の安静時にもズキズキ痛い状態なのか、動かしたときだけ痛いのか、肩をどの高さまで動かすことができるのか、といった症状の段階によっても回復に要する期間が変わってきます。

基本的に痛い期間が長く慢性的な症状であるほど回復に時間がかかる傾向にあります。

また、患者さんの目的が、現時点で発生している痛みをとることなのか、
恒久的な生活習慣の改善を目指しているのか、自分でできる養生の方法を学ぼうとしているのか、何を目的にしているかによっても変わってきます。

このような理由から、「○○回通えば、よくなりますよ」と答えるのは難しいのです。

しかし、患者さんにとっても、どのくらいでよくなるのか分からないのにずっと通い続けるというのは心理的に難しいと思います。

では、どうするか。

私は基本的に 1ヶ月間/週1回 通ってみて判断してほしいとお伝えしています。

治療直後は効果が出なくても、数日後から痛みが軽減してくることはよくあります。1回で効果が出なくても、3~4回治療を行うことによって少しずつ効果が出る場合もあります。
(難病指定されているような疾患は1ヶ月で効果を出すのは難しいです)

大事なのは、すぐに完治させることではなく、初期の状態と比べて、痛みの程度や体の動かしやすさ、歩行できる距離などが少しでも改善されているかということです。

完治するに越したことはありませんが、残念ながら医療は万能ではありません。
少しずつでも改善されていけば、治療を続けることによって目途が見えてくることもありますし、通院してみようと考えてみる理由になります。
残念ながら3~4回やっても改善されないケースもあります。

治療には、直接の治療行為以外にも様々な要素が関連します。
治療者の身だしなみや治療者と患者の相性、治療する環境、雰囲気、安心感などです。

それらを総合的に判断したうえで、

「症状はまだ改善していないけれど、もう少し続けてみよう」

「これ以上続けても無駄だから、別の治療院を探してみよう」

と判断していただくのはいかがでしょうか。

次回は本内容の続きとして、継続治療に関するお話をします。


【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
お気づきの点や質問等ございましたら,どうぞご遠慮なくお聞かせくださいませ。

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