手の治癒力 (草思社文庫)
山口創
近年の科学的な医学は、患者よりも患部や細胞をみる方向へ進んでいき、患者不在の医療となってしまっています。
患部だけでなく、患者を医療の中心に据え、体だけでなく心を含めた全体としての患者を癒す方向を取り戻すためには「手当て」が必要という著者の考えには共感できました。
また、現代人は親しい付き合いがなく仕事や他の関心ごとに時間を費やしているために、信頼や愛情に関わる絆ホルモンであるオキシトシンの分泌が妨げられているという意見も勉強になりました。
マッサージの方法については以下のように述べられており、私も意識しています。
抑うつで元気が出ない、やる気が出ない人には、手を素早く動かして触れることで交感神経の活性を促す。
ストレスがたまって不安から抜け出せないような過覚醒状態の人の心を鎮めるには、手をゆっくり動かしたりオイルをつけてマッサージして交感神経の抑制を促す。
あとがきに述べられていた手の力の説明が素晴らしかったので以下に抜粋しました。
手は与える、癒す力を
手は感じる、人の温もりを
手は伝える、ひとりではないことを
手はつくる、人との絆を
手の治癒力