先日、将棋の第91期棋聖戦5番勝負が行われ、挑戦者の藤井聡太七段が、タイトルを保持していた渡辺明前棋聖を破って、史上最年少タイトル記録を更新しました。
今回取り上げるのは、敗れた渡辺明前棋聖のブログの言葉です。
#2020/7/17 棋聖戦第4局のブログの一部を抜粋
https://blog.goo.ne.jp/kishi-akira
「番勝負(※)をやると、手付き、仕草、息遣いなどで相手が形勢をどう判断しているか、なんとなく分かるようになりますが、自信ありという感じで△86桂を指されて、そこでこっちも手が止まったので、この将棋は負けたなと覚悟しました」
※ 番勝負とは、主として、囲碁の棋戦や将棋の棋戦などにおいて、同じ2名の対局者が複数回の対局を行い、勝数が多い方を優勝者等とする仕組みを指す言葉である。(Wikipediaから抜粋)
この中の「手付き、仕草、息遣いなどで相手が形勢をどう判断しているか、なんとなく分かるようになる」という言葉が印象的でした。
対局中、将棋の戦略や変化の仕方を考えているだけでなく、相手の手付き、仕草、息遣いなど、相手がどんなふうに考えて将棋を指しているのかを含めて観察しているというところが共感できました。
はり・きゅう・マッサージの施術においても、施術前には必ず患者さんの状態を観察しますが、私は施術中も患者さんの状態の変化を観察するようにしています。
体の動かし方、呼吸の深さ、緊張具合、話し方、声の張りなどを観察しながら、患者さんがどんなふうに変化しているのか、できる限りの情報を得ようと考えているのです。
それで、なんとなく、
・患者さんの緊張がゆるんで声に張りが出てきたからうまく施術できたかな
・話し方が緊張したままだったから、施術がうまくいかなかったかも
・呼吸が深くなってきたから、腰の緊張がゆるんで動かしやすくなったと思う
といったことを判断しています。
ただ、正直に言って精度はまだまだです(笑)
自分ではうまく施術できたと思っても、全然変化していなかったり、逆にうまく施術できなかったなと思ったときでも、すごく改善できていたりといったこともあります。
このあたりの精度を着実に上げていければ、施術中でも、「これは効果が少なそうだったから次はこれをやってみよう」というように、臨機応変にやり方を変えていくことができ、施術後の効果に繋がっていくと考えています。
長年様々なタイトルを保持し続け現役最強と言われている渡辺明前棋聖のブログを読んで、改めて対局中(施術中)の観察が重要であることを実感しました。