19番目のカルテ 徳重晃の問診(11)

19番目のカルテ 徳重晃の問診【11】(ゼノンコミックス)
富士屋カツヒト 、 川下剛史


なんと、私がずっと読んでいる「19番目のカルテ」が7月13日(日)からTBSでドラマ化されます。

総合診療医の徳重先生は松本潤さん、滝野先生は小芝風花さんが演じるそうです。

参考サイト:TBS 日曜劇場『19番目のカルテ』
https://www.tbs.co.jp/19karte_tbs/

 


なんでも治せるお医者さんを目指して奮闘する医師の物語の第十一巻です。

今回は3年目の脳外科の医師の関先生の話が印象に残りました。

手術、外来、オンコール、病棟管理、救急当番、当直と忙しい毎日を送る関先生。

二浪して医学部に入っているため、同期には負けられないと必死で頑張っています。

新婚にも関わらず、次から次へと仕事を振られ、徐々に疲弊していく関先生。

病院の仕事に理解がある看護師の奥様からも、もう少し二人の時間がほしいと言われてしまいます。

 

 

総合診療医の徳重先生がそれに気づいて、関先生の診察をサポートしながら併診したいと、関先生の上司の長良先生に掛け合います。

長良先生は若い先生にたくさん仕事を振ってチャンスを与えて成長させたい、一人前になるためにはある程度の負荷も必要、という考え方をもっていて、自分自身もそうやって成長してきた先生です。

ところが、他科の徳重先生から見れば、余裕がなく仕事量が多すぎるように感じられます。

 

 

人材不足は喫緊の課題であり、人手が増えるのを待っているだけではなく、今いる人材を育てて層を厚くしていきたいという思いもある長良先生に徳重先生は語りかけます。

「同じ目的へ向かうのに、同じ道を行く必要はないと思います」

「僕は相手に期待するのではなく、信用することにしています」

「間違った方へ行かないように見守り、時々手を添える。それだけで十分だと僕は思うんです」

長良先生のやり方が間違っている、というのではなく、チューニングが必要かもしれないことを上手に伝えます。

徳重先生との話し合いを経て、長良先生も関先生を追い詰め過ぎていたと反省し、うまく仕事ができるよう調整していくという話でした。

 

 

これは病院の医師だけでなく、他の業種でも同じような問題があると思いました。

どの業界も人材不足で、今いる人に成長してもらいたい、という思いから負担をかけ過ぎてしまう。

仕事を任された若手も、期待に応えようとするあまり頑張り過ぎて燃え尽きてしまう。

そんな悪循環に対してどう対応すべきか。

徳重先生のアプローチは勉強になりました。

 


19番目のカルテ 徳重晃の問診 11巻【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)

無資格ではないけれど違法である行為

今回は「無資格者の施術」とも関連する話題で、無資格ではないけれど違法である行為について書きます。

先日、山形地方裁判所である裁判の判決が出ました。

この裁判は、山形県の鍼灸マッサージ院が、フランチャイズ展開している整体院に対して、施術者が理学療法士であることを売りにして疾病や症状が緩和すると宣伝して事業を行っていることは法律に違反している、と訴えたものです。

引用サイト:山形市での訪問マッサージ(健康保険適用) 工藤はりきゅうマッサージ治療院

・KINMAQ整体院 山形南院を運営する会社を提訴しました。
http://blog.kudo-massage.com/?eid=141

・KINMAQ整体院に対する訴訟の判決。山形地裁は医業類似行為について、最高裁とは異なる解釈を示しました。
http://blog.kudo-massage.com/?eid=158

 


裁判の判決は、KINMAQ整体院のウェブサイトに表示されている内容の施術は、あはき法12条で禁止されている医業類似行為に該当し違法という結果でした。(「あはき」というのは、あん摩・はり・きゅうの頭文字をとった言葉です)


・山形地方裁判所令和7年3月25日判決令和5年(ワ)第61号
https://onedrive.live.com/?redeem=aHR0cHM6Ly8xZHJ2Lm1zL2IvYy8xZjE1NjI2NTMzNWU1NzIwL0VXTDlWa1JZYkJGTm5mck0wa0hMZkM4QkZaa1Y5RzIzUEFzRi1wVkZ0MDZXR2c%5FZT1keVlEQ3I&cid=1F156265335E5720&id=1F156265335E5720%21s4456fd626c584d119dfaccd241cb7c2f&parId=1F156265335E5720%21sd856a05bbfec416e86caa54fa2fbe92c&o=OneUp


おそらく、医療系の業界にいる人でないとこの裁判の争点が分からないと思いますので、以下に要点を書きます。

国家資格を持っているのに何が問題なのか?

それは「開業権」のない理学療法士が、開業、事業展開して、疾病や症状が緩和すると宣伝しているということです。

「開業権」とは、独立して開業するために必要な資格や免許のことを指します。

 

 

「開業権」について、医療系の国家資格では、以下のような感じになっています。

◆開業権あり:

医師、歯科医師、獣医師、助産師、薬剤師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師

◆開業権なし:

看護師(※)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師

※ 看護師は訪問看護ステーションやデイサービスなど、一定の要件を満たせば開業できます

例えば、

・診療放射線技師が、自分で放射線検査専門医院を開業して、放射線検査の事業をやる

・歯科衛生士が、自分で歯科衛生医院を開業して歯のクリーニングの事業をやる

といったことは違法です。

開業権のない国家資格は、医師、歯科医師の指示の元でないと業務を行えない法律になっているのです。

 

 

もちろん理学療法士も同様です。

日本理学療法士協会からも、「理学療法士が医師の指示を得ずに障害のある者に対し、理学療法を提供し、業とすることは違反行為となり開業は認められない」という見解が出ています。

引用サイト:公益社団法人日本理学療法士協会

・保険適用外の理学療法士活動に関する本会の見解
https://www.japanpt.or.jp/pt/announcement/asset/pdf/kyuukoku20150130.pdf


では違法と分かっているのに、なぜ開業できてしまうのか。

それは「整体」ということにすれば、誰でも開業できるからです。

このあたりは法律の整備が曖昧となっている状況です。

極端な話、このブログを読んで下さっている国家資格をお持ちでない方が、今日から自宅で〇〇整体院をやろうと思っても、誰の許可もなく開業できてしまうのです。

 

 

そのため、今回の件も

「理学療法士がやっています」

と宣伝しなければ、現行の制度上では特に法律に抵触することはなかったのですが(疾病や症状が緩和すると宣伝することは違法)、他の整体院と事業の差別化をして優位性を得るために国家資格を保有していることを誇示したのかなと思います。


ちなみに、私の鍼灸マッサージ学校の同級性に理学療法士の資格を持っている人がいました。

実技の授業でペアになることもあり、当時何も知らなかった私は色々と教えてもらいました。

「なんで理学療法士の資格を持っているのに、鍼灸マッサージ学校に入ったのですか?」

と聞いたら、

「理学療法士は開業権がないから、開業できる資格を取りたくて入りました」

と話していました。この方のように、きちんと開業権のある国家資格を取得し、法律を遵守している方もいらっしゃいます。

 

 

さて、今回は無資格ではないけれど違法である行為について書きました。

「国家資格を持っているから安心」と思って選んでも、実はそれが違法の可能性もあります。

違法行為をしていると、今回の事例のようにいつ摘発されるか分かりません。

例えば回数券を買ったけれども途中で違法であることが分かった場合、回数券を購入したお金は戻ってこないことも考えられます。

選ぶ側としてはなかなかそういったことを知る方法がないので、今回は裁判の判決に基づいて、注意喚起の意味で取り上げました。


参考ブログ:無資格者の施術について
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/treatment-unlicensed-persons/

夜明けのカルテ

夜明けのカルテ:医師作家アンソロジー


医師作家9名が描く医療系の短編小説集です。

全て医師が書いている小説なので、リアリティがありましたし、現代医学の問題点がしっかり描かれていて楽しめました。

個人的に特に楽しく読めた4つの短編を以下に紹介いたします。

「救いたくない命」は、救急搬送されてきた患者が15人以上を刺して殺した通り魔だったという話です。

必死に命を救おうとする静脈確保や開腹して出血部位を探す描写がリアルで、患者が通り魔という事実を知った医師はどうするのか興味深かったです。

 

 

「春に綻ぶ」は、二年間の初期研修を終えて一人立ちした三年目の内科医の話です。

内科医はコロナ陽性患者を押し付けられることが多く、同じ説明を何度もしたり、厄介な患者を回されたりする様子が描かれていました。

医療従事者からすれば「同じ症状でやってくる患者の一人」であっても、患者の家族にとっては「初めての、自分だけの経験」であることをしっかり理解しながら、治療に慣れても、感情までは慣れたくないという矜持で働く山岸先生が好きでした。

 

 

「闇の論文」は、がんの生検が、がんの転移を引き起こす可能性に関する論文を巡る話です。

医学会としては受け入れるわけにはいかない不都合な真実がテーマになっていて、実際にこんなケースもあるのだろうなと思わせる内容が印象的でした。

 

 

「空中テント」はアルツハイマー型認知症をめぐる介護の話です。

認知症になった父の介護を巡って家族会議が開かれますが、叔父伯母や兄は妻である母親が見るべきという正論を譲りません。

介護負担が限界になり突然いなくなった母親を無責任となじる家族。

「介護者は生き方を選べないのか?」という現代社会でも大きな問題となっている点に踏み込んでいて読み応えがありました。

 


医療小説が好きな方におすすめの一冊です。

 


夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

新版 今日が人生最後の日だと思って生きなさい

新版 今日が人生最後の日だと思って生きなさい
小澤 竹俊 (著)


身近な人が病気で苦しんでいたり、自分自身が生きることに悩んでいる人におすすめしたい一冊でした。

「死」というのものを意識しながら生活し続けるのは難しい。

それは死が日常ではなく、非日常だから。

それでもできるだけ悔いがないように生きるためには、日常と非日常の両方の大切さを知り、使い分けていく必要があるという考え方は共感できました。

 

 

非日常の出来事が起こると、食事がとれること、布団でぐっすり眠れること、大事な人といつでも会えること、そんな当たり前の日常がいかにかえがえのないものであるかがよく分かると思います。

また、最後はどうするか「自分で選ぶことができる自由」というのもとても大切だと思いました。

自分で外出したり、仕事を選んだり、誰のお世話になるか考えたり、日々の選択の積み重ねが人生をつくっていて、それは死ぬ直前まで変わらないことが、自分の尊厳を持ち続ける手段だと考えています。

 

 

以下に印象に残った言葉を抜粋。

・苦しみは希望と現実のギャップから生まれる。それでも苦しみを抱えながら穏やかに生きるにはどうすればいいかを考えるとき、自分にとっての大切な存在や支えになってくれる存在に気づける

・本当に大事なのは、「患者さんの問題をすべて解決すること」ではなく、無力な自分を受け入れ、医者としてではなく一人の人間として「患者さんに関わり続けること」、「無力でも患者さんの言葉をきちんと聴き、共に苦しみを味わおうとすること」

・亡くなった人も、ずっとそばで見守ってくれていて、この世を去ったあとも自分の存在や思い、言葉は人の心の中に生き続ける

 

 


新版 今日が人生最後の日だと思って生きなさい

健康保険が使えますか

先日、新規の患者さんから

「腰痛があるのですが、そちらでマッサージを受ける場合、健康保険は使えますか?」

という問い合わせの電話がありました。

 

 

『かかりつけの医師の同意書があれば健康保険が使えますが、筋肉の麻痺や関節が動かないなどの症状がある方でないと、同意書を書いていただくのは難しいかもしれません」

と回答しました。

そのあと、

「私は西ヶ原に住んでいるのですが、どこに行けば健康保険で施術が受けられますか?」

と聞かれました。

そこで、

『腰痛でしたら、整形外科のクリニックに行くと健康保険が使えます。
クリニックによっては医師の診察と薬の処方だけのところと、リハビリ室があってマッサージ師や理学療法士による施術が受けられるところがあります。西ヶ原でリハビリ室がある整形外科は、〇〇整形外科、△△整形外科です』

と回答しました。

「ご丁寧に教えて下さり、ありがとうございました」

とお礼を言われました。

医療系の仕事をしていると、どこで、どんな時に健康保険が使えるのかという知識もある程度もっていますが、今まで病院や治療院をほとんど受診したことがない場合には、健康保険のことを知る機会がないのかもしれません。

 

 

そこで、痛みや体の不調がある場合に、健康保険が使えるところを簡単にまとめてみました。

①病院、クリニック
(入院施設が20床以上ある医療機関を「病院」、19床以下を「診療所(クリニック)」という名称が定められています)

受診する科に関わらず、病院、クリニックでは健康保険が使えます。

初めての体の不調や急な痛みの場合、まずは病院、クリニックを選ぶのが無難かもしれません。

ただし、予防接種や人間ドックなど、健康保険の対象外となる診療もありますのでご注意下さい。

参考サイト:SCSK健康保険組合 健康保険で受けられる診療と受けられない診療
https://www.kenpo.gr.jp/scsk-kenpo/contents/01shikumi/kyufu/uke/index.html

 

 

②整骨院、接骨院
(整骨院と接骨院は、名称が異なるだけで施術内容に大きな違いはありません。どちらも柔道整復師が施術を行う施設です)

急性の外傷性の捻挫、打撲、脱臼、骨折の施術の場合には健康保険が使えます。

慢性症状に関しては健康保険が使えませんのでご注意下さい。

ちなみに、上記の新規の患者さんからの質問の回答で「整骨院」と回答しなかったのは慢性の腰痛の場合には健康保険が使えないからです。

病院、クリニックであれば、急性、慢性に関わらず、健康保険が使えます。

参考サイト:全国健康保険協会 柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3070/r141/

 

 

③はり・きゅう院・あん摩マッサージ指圧院

かかりつけの医師の同意書があれば、健康保険での施術が受けられます。

普段、病院やクリニックにかかっていなくて、かかりつけの医師がいない場合には利用するのは難しいです。

・健康保険の取り扱いについて
https://nishigahara4-harikyu.com/hoken.html

 


初めて受診して健康保険が使えるのは①、②で、③は医師の同意書を受領してからでないと健康保険での施術は受けられません。

なお、①、②で健康保険の施術を受ける場合、同じ疾患を治療中の場合、重複して健康保険を使うことはできません。

(例)A整形外科で腰痛を治療中の状態で、B整骨院にかかって腰痛治療を行うことは不可

以下のサイトにも、分かりやすくまとまっていますので、興味がある方はご確認下さい。

参考サイト:広報おびひろ 国民健康保険が使える施術と使えない施術
https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/995/1609koho-p03.pdf

 

今回は、健康保険が使えるところの情報を簡単にまとめてみました。

現在は色々な情報が出回っているので、もし分からなければ事前に受診する機関に確認した方がよいと思います。