19番目のカルテ 徳重晃の問診【6】(ゼノンコミックス)
富士屋カツヒト 、 川下剛史
なんでも治せるお医者さんを目指して奮闘する医師の物語の第六巻です。
第六巻では、「訪問診療と看取り」がテーマだったと思います。
そもそも「訪問診療」とは何か。
実は「往診」と混在してしまうのですが、少し意味が違います。
以下、本文から引用です。
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訪問診療とは、突発的な要請で診察を行う「往診」とは違い、病院への通院が困難な患者さんに対して医師が診療計画などを立て1~2週間に1回、定期的に自宅へ伺い診療行為を行うサービスのことです。
訪問前には必ず患者・家族・主治医に加え、ケアマネージャー、訪問看護師などで事前ミーティングを行います。
これまでの病歴、受けてこられた治療、訪問診療が導入となった背景、また家族の介護力や経済的な事情など様々な情報収集をします。
これらを基に、診療計画や訪問スケジュールを立て、やっと実際に訪問診療が始められます。
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さて、実際の訪問診療ですが、事前情報だけでなく、「病院ではみられないものを診ることが大事」という話が印象的でした。
例えば、患者さんが普段いるベッドからトイレまでの道筋だったり、小さいお孫さんが頻繁に訪ねてきたりといったことです。
今回は歩行困難となり自宅でも頻回に転倒するようになった患者さんの訪問診療を行うのですが、ちょっとしたお菓子のゴミを見つけたことが問題解決に繋がっていきます。
また別のケースでは、肺癌がステージⅣまで進行し、化学療法も効果が見られず本人も積極的な治療を望んでいない76歳の男性患者さんの話もありました。
家族共々在宅ケアを望んでいますが、治療を望まない長男と、治療を続けたい次男の意見が対立します。
お母さんの死に目に何もできなかったことを後悔している次男に医師としてどう寄り添っていくか、患者さん本人はどんな気持ちでいるかを丁寧に聴きながら対応していました。
このケースでは、実際に家族が集まっている場面で患者さん本人の気持ちを聞く場面がありましたが、家族がいると気を遣ってしまって本当に気持ちを言うことができないこともあると思うので、どう対応していくのか難しいと感じました。
また死期が迫っていることを見通して、会える時に親しい人たちと会っておくという判断をしたことも、とても大事だと思いました。
本人や家族が納得できる最期を迎えるためにどうするか、正解も間違いもなく、自分たちに何ができるか考えることをやめず、それぞれが思う最善の仕事をする。
そんな医師の言葉が心に響きました。
私も訪問で鍼灸マッサージを行っているので、自分に何ができるか考え続け、できる最善の仕事をしたいと思いました。
19番目のカルテ 徳重晃の問診 6巻 【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)