高齢者の入浴券について

先日、豊島区からいらしている70代の患者さん(以下Aさん)と話した銭湯の話を紹介します。

当院は、北区西ヶ原にありますが、豊島区との区境になっていて、豊島区の患者さんも多くいらっしゃいます。(当院の向かいのマンションの住所は豊島区西巣鴨です)

Aさんは最近よく銭湯に行っているそうです。

「銭湯も値上げして結構高いのよね~」

とおっしゃっていたので、

『北区のご年配の患者さんは区から銭湯のチケットがもらえて100円で入れると言ってましたよ』

とお伝えしました。

 

 

北区では、北区内に住所を有する70歳以上の方は年間で入浴補助券を24枚もらえて、1回あたり100円で利用できるサービスがあります。

 

引用サイト:北区 令和7年度高齢者ヘルシー入浴補助券
https://www.city.kita.lg.jp/socialcare-health/elderly/1008607/1008617.html

 

そこで、豊島区ではどうか調べてみたところ、豊島区でも同じようなサービスがありました。

豊島区では、豊島区に住民登録のある65歳以上の方で、「としま・おたっしゃカード」を発行すると年に40回まで100円で利用できるようです。

 

引用サイト:豊島区 敬老入浴事業(としま・おたっしゃカードのご案内)
https://www.city.toshima.lg.jp/379/kenko/koresha/ikigai/000679.html

 

この情報をAさんにも伝えたところ、早速確認してみるとおっしゃっていました。

 

 

ちなみに、近隣の板橋区でも同じようなサービスがあります。
(当院には板橋区からいらしている方も結構いるのでリンクを付けました)

 

参考サイト:板橋区 令和7年度板橋区敬老入浴事業のご案内
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kenko/kourei/kenkou/1055676.html

 

こういった区のサービスは、案外知られていないこともあるので、「〇〇区 サービス名(銭湯、映画、体操など)」で検索したり、区役所に用事があるときには聞いてみるとよいかもしれません。

私が知っている情報が、Aさんのお役に立ててよかった出来事でした。

 

 

回数をやればよいという筋トレ思考

今回は患者さんにお伝えするセルフケアについて書きます。

当院にいらした患者さんに、ストレッチ方法や体の動かし方のセルフケアをお伝えした際、

「これは何回やればよいですか?」

と聞かれることがあります。

 

 

私がお伝えするセルフケアは回数はそれほど重要ではなくて、体に意識を向けながらゆっくり動かしていくものが多いのです。

そのため、回数はそんなに重視していなくて

「2、3回で十分なので、しっかり意識しながらゆっくりと丁寧に動かして下さい」

とお伝えしています。

ところが、その意図が正しく伝わっていないせいか、とにかく回数をやればよくなると思っている方がいらっしゃいます。

これが筋肉を付けることが目的の筋トレであれば、「50回やって下さい」ということでよいのかもしれません。

 

 

しかし、「体の緊張している筋肉をゆっくり刺激する」、「動きが悪くなって固まっている関節を少しずつ動かしていく」、といったセルフケアの場合には、筋肉や関節に意識を向けて、できるだけゆっくり、もし痛みが出たらやり過ぎなのでその一歩手前まで、といったことを意識する必要があるのです。

とにかく回数をやればよい、という筋トレ思考ではかえって症状が悪化してしまう可能性があります。

回数という分かりやすい目標があれば、それを達成するだけでよいと単純に考えてしまいがちです。

ただ回数をこなすのではなく、いかに自分の体と対話していくか、体の状態を意識しながらやっていくかをきちんと伝えていきたいと思います。

 

痛いとき”さすさす”する

先日、首から背中の痛みで来院された患者さん(以下Aさん)から聴いた言葉が印象に残ったので紹介します。

朝起きたら、首が痛くて動かせなかったAさん。

痛みが徐々に背中にも広がってきて、動くのも大変だったそうです。

 

 

痛めたその日に当院に来院して施術したところ、動かせる範囲が少し広がって痛みも減少しました。

そこから数日後、まだ半分くらい痛みが残っていることで再来院されました。

その際に、

「前回のあともまだ痛かったので、自分で”さすさす”していたら、少し良くなりました」

とおっしゃっていました。

 

この”さすさす”という言葉、皆さんは分かりますか?


私はすぐに、「さする」という言葉だなと分かりました。

ちなみに、手のひらや指を使って皮膚を軽くさすることをマッサージの専門用語では「軽擦」(けいさつ)と言って、これも立派な手技なのです。

 

 

そこで、Aさんに

『”さすさす”という言葉、かわいい言い方ですね』

と伝えました。すると、Aさんは

「いつも子どもが使っている言葉で、自然と出ちゃいました。子どもがかゆかったり、痛かったりするとき、”さすさす”してと言うので、家では普通に使っています」

とのこと。

どこか痛い時に、その場所をさすってあげるのはよくあることで、「痛いの痛いの飛んでいけー」と言いながらやったりしますよね。

 

 

実はこれ、「痛みの抑制系」と言われていて、触覚刺激により痛みの信号を伝わりにくくして、痛みを和らげる働きがあるのです。

 

参考サイト:

東大沢整形外科内科:「痛いの痛いの飛んでいけー」は実は効果的
https://www.higashiohsawa.jp/archives/6685

産経新聞:「痛いの飛んでけー」は本当に効く
https://www.sankei.com/article/20220210-YGO5WIPSDZLQBH4OIOYIODHR2M/

 

子どもの場合には、さらに心理的な安心感も伝わるため、効果が出やすいのだと思います。

患者さんにもこのことを伝えたら、「”さすさす”は本当に効くのですね」と笑っていました。

みなさんもどこか痛い場所があったら、まず”さすさす”して、痛みを和らげましょう。

 

入院による認知機能低下防止の話

今回は私が訪問マッサージの施術をしている90代の患者さん(以下Aさん)から聴いた話を紹介いたします。

Aさんは昨年、自宅で転倒し立てなくなり、救急車で病院に搬送された結果、恥骨にヒビが入っていることが判明し、しばらく入院することになりました。

Aさんの恥骨のヒビは、手術が難しく安静による自然治癒での対応となる旨、医師から説明されたそうです。

 

 

高齢の患者さんが入院や手術をされる場合、一般的に安静を強いられることが多いため足の筋力が低下するとともに、環境が変わることによるストレスで認知機能が低下しやすいと言われています。

参考サイト:

国立長寿医療研究センター 入院すると、もの忘れが進むというのは、本当でしょうか。
https://www.ncgg.go.jp/dementia/prophylaxis/007.html

鳥取県医師会 健康なんでも相談室
https://www.tottori.med.or.jp/nandemo/%E5%85%A5%E9%99%A2%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%AB%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%EF%BC%9F


2ヶ月ほど入院し、無事に退院したAさん。

訪問マッサージの施術を再開することになり色々お話を伺っていると、入院前と比べて認知機能の変化はなさそうでした。

そこでAさんに、入院中はリハビリ以外にどんなことをして過ごしていたかを聞いてみました。

Aさんは

「数独をやるのと、ことわざの本を読んでいたのよ。数独は初級から始めて上級までやってたわ」

とおっしゃっていました。(数独とことわざの本は家族が差し入れしてくれたそうです)

 

 

なるほど、数独は安静にしていてもできますし、脳のよい運動にもなります。ことわざの本も、これどんな意味だっけ?と確認しながら読んでいたそうです。私も以前、数独をやっていた時期があります。

参考ブログ:久々に数独をやってみました
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/sudoku/

 

Aさんには数独やことわざがよかったみたいですが、他にも詰将棋や音楽を聴く、文字を書く、本を読むなど、安静にしていても楽しみながら脳を刺激することはできそうです。

入院中安静を強いられても、そのときにできることをやっていくことで、認知機能の低下を防ぐことができることをAさんに教えてもらいました。

 

 

聴こえ8030運動

産経新聞に掲載されていた記事からのご紹介です。

「 加齢性難聴で認知症リスク、検査を推奨 」という記事です。(2024/11/14 朝刊)

年を取るにつれて聴こえにくくなる加齢性難聴が認知症のリスクを高めることが明らかになってきています。

耳鼻科医らでつくる医学会では、人のささやき声に相当する30デシベルが80歳で聞き取れることを目標とする「聴こえ8030運動」を2024年9月から始めたという記事でした。

これは、80歳で20本以上自分の歯を残しましょうという日本歯科医師会の「8020運動」になぞられているそうです。

 

 

東海大医学部の和佐野浩一郎准教授の話では、加齢性難聴を放置すると社会的孤立に陥る確率が2.78倍、うつの発生率が1.48倍、認知症の発生率が1.37倍になるとの報告があるようです。

聴こえにくくなることが孤立やうつ、不安を増加させ認知症のリスクを上げることにつながります。

以前に私が参加した講習会でも、同じような話がありました。

ブログ:聴こえと健康な未来社会
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/hearing-healthy-future-society


本記事では、聞き返しや聞き間違えが多くなったら耳鼻科で聴力検査をすることを勧めていました。

一般的な健診では2種類の音の高さで25~40デシベルが聞き取れれば正常と判断されますが、耳鼻科の検査は防音室内で7種類の音の高さでどこまで聴こえるかを測定するので、異常が見つけやすいそうです。

聞き取りにくくなった場合には補聴器の利用が進められ、補聴器をつけることで、つけない場合と比べてうつや不安の発生率が14%減少、転倒の発生率は13%減少したとの研究もあるようです。

「目が見えにくいとメガネをかける」のは一般的ですが、「耳が聴こえにくいと補聴器をつける」というのはまだまだ普及していないのかもしれません。

 

 

私も「聴こえ8030運動」のサイトを見て「補聴器相談医制度」というものがあることを初めて知りました。

これは、難聴で不自由にしている人の補聴器の選択や相談に適正に対応することを目的にできた制度だそうです。

聴こえを保つことが健康寿命を延ばすことにもつながると思いますので、こうした活動が普及するといいなと思いました。

参考サイト:聴こえ8030運動
https://kikoe8030.jibika.or.jp/