俺たちの箱根駅伝 上・下
池井戸 潤 (著)
今年もまた箱根駅伝の季節が近づいてきましたので、箱根駅伝にまつわる本の紹介です。
箱根駅伝を「名門校の優勝争い」という視点ではなく、「学生連合チームとしてのプライド」と、「箱根駅伝を放送する責任を負ったTVマンたちの奮闘」という、別の側面から描いた感動の物語でした。
学生連合はどんなによい記録を出しても正式記録に認定されず、チームとしての一体感も目的もなく、モチベーションを保つのが難しい。
そんな中、学生連合チームがどんな準備をして、一体感やモチベーションをあげていくのか、読み応えがありました。
上巻では「考える力」が繰り返し語られていました。
レース前にどんなに戦略を立てても予定調和は成立せず、大なり小なり必ず予測しなかった何らかのトラブルが起きる。そのとき、どこで抑えるのか、どこで仕掛けるのか、その見極めが勝敗を決める。そのときに必要なのが創造力であり思考力で、思考力のないランナーは決して成功しません。
ただ速く走るだけでなく、考えることを求めた監督に対して、選手たちがどう答えて行くのかが読みどころです。
下巻は、気持ちを一つにして、目指すは三位以上という目標を共有した学生連合チームがどんな走りを見せるのか、そしてTVマンとして箱根駅伝の中継はうまく進行できるのか、男たちの真剣勝負の舞台が整ったところから始まります。
選手たちが抱える想いや覚悟、レース中の突然の不調や故障、箱根の悪天候、目まぐるしく動く上位争い、箱根駅伝を中継するTVマンたちの仕事ぶりなど、読み応えがあり一気読みでした。
どの選手にも事情があり、支えてくれる人がいて、様々な想いを乗せて走っている。選手たちそれぞれのドラマもよく考えられていたと思いますし、レース中の甲斐監督の一人ひとりへの声かけは素晴らしかったです。
仲間たちの想いやタスキの重みから、平常心でレースに臨むことが難しい箱根駅伝においては「メンタルが七割」と言われています。
想定外のことが起きるのではという不安や、どう走るべきか判断に迷うことからこそ、事前に様々な状況を想定し、議論しておくことがメンタルの強化に繋がっていきます。
何が正解かを判断するのは自分であり、それは人生にも通じるという考え方は印象的でした。
走っている選手だけでなく、監督や家族、チームメイト、応援してくれる観客、視聴者、そして中継しているTVマンたちなど、多くの人に支えられて箱根駅伝がある。
そんな箱根駅伝の魅力が存分に楽しめる感動の物語でした。
ちなみに、本書は2026年にドラマ化されるみたいですので、それも楽しみです。
参考サイト:日本テレビ 俺たちの箱根駅伝
https://www.ntv.co.jp/orehako/

俺たちの箱根駅伝 上下巻セット




西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。