ジャガー・ワールド
恒川 光太郎 (著)
文明が発達する以前の時代の生き方や戦いを描いた壮大な物語です。
ある土地を支配しているエルテカ国。
生贄を捧げるため、別の島や国で人間を捕獲し連れ去ってくる。
国の王は暴君と呼ばれ、理由もなく人を殺したり、他国へ戦争を仕掛ける。
戦争を仕掛けられた国は報復し、戦いは続いていく。
また、争いが起きた時の解決手段として、儀式戦争という取り決めに基づいた戦いが行われ、それに立ち会ったり、監視する民族もいる。
王の身勝手に振り回される民の怒りが爆発する中盤からは特に読み応えがありました。
生贄を捧げる儀式を否定する邪教集団ことレリイ教団、生贄のための人間捕獲を阻止すべく立ち向かう黒仮面の賊ことサリュザの海賊、そして王国の王となった神官のフォスト・ザマ、最強の戦士ドルコなどがぶつかりあっていきます。
「人間は贅沢なので、食べて糞して寝るだけでは飽き足らず、日々をもっと面白くしたいと考えて、歌い、踊り、戦い、殺し、喰うのだ」
という考えは人間の心理だと思いました。
だからこそ、この時代においても儀式戦争が行われ、優劣を決めたがる。
そして、勝利の味を覚えた者たちは、延々と次の勝利を求めるようになり、人生を狂わせ滅びの道へとつながっていく。
国は誰か正しく導くものがいなければうまくいきません。
権力を忌避しているのに王にされ、不殺を説いても人を殺し、世界に闇が広がっていく。
誰のために人生を歩んでいくのか、誰を信じて付いていくのか。
最後まで楽しめる最高の物語でした。

ジャガー・ワールド



西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。