こころに届く授業

こころに届く授業: 教える楽しみ教わる喜び
河合 隼雄 (著), 谷川 俊太郎 (著)


心理学者の河合さんが算数を、作家、詩家の谷川さんが国語をテーマにして子どもたちの前で授業をするのですが、何かを学ぶこと、考えることが詰まった内容で勉強になりました。

本書の「はじめに」で書かれていますが、

『何を教えるかということはもちろん大切だが、いかに教えるかということも負けず劣らず大切。そこのところが少しないがしろにされているのではないか』

ということが現在の学校の授業の課題で、河合さん、谷川さんの授業では子どもたちと一緒に楽しみながら考えていく関係を大切にしていたと思います。

 

 

河合さんの算数では、数字が割り切れるかどうかどうやって分かるか、という話をしていました。

印象的だったのは間違っていることに対してもそれを責めるのではなく、相当いろいろ考えて出た考えに対して、なるほど・そういうふうに考えたのか、と共感しつつ、違う考え方をしていることを否定せずおもしろがることです。これが子どもたちに考える意欲を与えたり、色んな考え方があることへ気付きを与えるきっかけになると思いました。

谷川さんの国語では、五十音は言葉だけではなく、音や声、文字という概念があり、表情があるということを教えていました。

五十音を声に出して読んだり、俳句の5・7・5で読んでみたり、擬声語、擬音語で音がさらに豊かになることを学んだりと、声を出して、歌って、考えて、楽しい授業でした。

 

 

最後の河合さんと谷川さんの対談も学びが多かったです。特に印象に残った内容を以下に抜粋。

 

・間違った人というのは、ちゃんと一応の筋道の中で間違っている。そういう筋道をたどっていけば、むしろ本物の算数になっていく。学校の先生方は今日中にこれとこれを教えてないと、という教案を持っている。でも、そのとき子どもが間違った箇所ですぐに次にいくのではなく、「おもしろいことやったな、あんた。次、もうちょっと考えようか」伝えることで、考えたことが否定されず、答えに至るまでの道筋がおもしろいと感じられる

 

・赤ん坊のころは、お母さん、あるいはお母さんの役割をしている人は、子どもに「いい子、いい子」とか「よし、よし」とか本当に無意味な言葉をたくさんかけている。これは意味ではなく、声の愛撫だととらえている。だから、母親の声を聞くことで赤ん坊は安心しているし、母親は声をかけながら必ず同時にスキンシップをしている。言葉ってそうやって非常に幸せに習得し始めるともうが、子どもが成長してくるとお母さんも「やめなさい」とか叱る言葉、管理する言葉に変わっていってしまう

 

・みんなはよい家庭とか、よい親子関係というのは、問題が起こらないことだと思っているけど、これは大間違い。問題があるから人生は楽しいし、生きていれば色々ある。自分の子どもの今だけを見ていたら、学校に行かなくなったとか、ものすごいけんかをしてきたとか、マイナスみたいに思うけれど、それを経てプラスになる。何かあっても構わんぞ、という姿勢で子どもを信頼することが大事

 


こころに届く授業: 教える楽しみ教わる喜び

【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
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