人間には12の感覚がある

人間には12の感覚がある 動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー
ジャッキー・ヒギンズ (著), 夏目 大 (翻訳)


人間が持つ感覚と言うと、五感(視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚)と思われていますが、神経科学者に話を聴くと、もっとたくさんの感覚があるという意見もあり、専門家の間でも意見が一致していないそうです。

また、五感の働き方も一通りではなく二通り以上存在しているし、人間の知覚は単一の感覚だけで完結しているものはほとんどなく、複数の感覚が複雑に絡み合って生み出されています。例えば、何かを見たとき、多くの部分が視覚によって成り立っていますが、同時に聴覚や触覚、嗅覚も働いています。

 

 

本書ではいわゆる五感以外に、視覚を色覚と暗所視に分け、快感・痛み、フェロモン、平衡感覚、時間感覚、方向感覚、身体感覚と12の感覚について解説されていました。

自分の身体の各部が今どこにあるかを知らせる感覚など、働いていることが意識されない感覚も存在しており、感覚はまだまだ分かっていないことも多い中、様々な動物が持つ特殊な感覚と、それと関連する人間の感覚を考察した内容となっていて、とても興味深く読みました。

色覚が豊かなモンハナシャコ、暗い環境でも周囲を見ることができるヒナデメニギス、音から獲物の場所を突き止めるカラフトフクロウ、外と直に接している11対の触手がある鼻をもつホシバナモグラ、八日間休みなしで食べず、飲まず、眠らずに飛び続けて太平洋を一気に越えたオオソリハシシギ、脳の指示と関係なく独立性がある腕を持つタコなど、生き物たちの生態は分からないことだらけです。

そんな動物たちの感覚機能と、人間の持つ感覚機能を比較したり、分析したりしながら展開されていきますが、何よりもすごいのが人間で、様々な感覚において高い順応性を持っていることがよく分かります。

 

 

本書を読んでいると様々な感じ方をする人が出てきます。同じ感覚でも人によって、見え方や聴こえ方、感じ方はそれぞれ異なり、「普通」ということが何なのかよく分からなくなります。

また、何かの感覚が欠落していても、その他の感覚が研ぎ澄まされていることも多いです。

全盲でも触覚を頼りに、目が見える人と同じように絵が描ける人は、視覚と触覚が同等になっているといいます。

視覚と聴覚がなければ触覚はさらに敏感になるという考えを証明する実験で、実験開始二日目で被験者の脳がすでに変化し始め、五日目になると触覚情報が視覚野を活性化させるようになるという結果はとても興味深いです。

 

 

他にも印象に残る内容が多くあったので、以下に抜粋しました。

・全色覚異常の人物の言葉「私たちは、見て、感じて、匂いをかいで、あらゆることを同時に受け止めるが、その時あなた方はただ色を見ているだけだ」

・盲目の動物はいるが、聴覚のない動物はいない。音はエネルギーや物質が存在するところには必ず存在する。音は単なる振動で、わずかな動きでも空気の分子を動かしさざ波のように四方へ広がる

・聴覚とは単に音をとらえるものではなく、周囲の空間の様子を描写したり、音の発生源を特定する働きも持っている

 

 

・脳内には感覚の種類ごとに担当の部位があるという見方は改めた方がいいかもしれない。例えば有線野は視覚がある状態では視覚のみに対応するが、視覚がない状態では即座に他の感覚に対応し始める

・失って存在しない手足の存在を感じる幻視と同様、存在しないはずの味を感じる幻味という現象もある

・人間の聴覚が区別できる音色は平均で数十万種類、人間の視覚が区別できる色は数百万種類だと言われている。しかし、人間の嗅覚は少なくとも一兆種類のにおいを区別できる

・私たちは匂いをかぐときに、二つの鼻孔から入ってくる匂い情報を比較している。これは二つの耳を使って音源の位置を知ることや、二つの目を使って奥行きを知ることに似ている。二つの情報がそれぞれの感覚を立体的にしている

 

 

・目には桿体細胞と錐体細胞以外の、時間感覚のための概日光受容体である感光性網膜神経節細胞がある

・自己受容感覚があるからどの筋肉をどう動かすか考えなくても無意識に動かすことができる。この感覚を失うと、外から自分の身体を見て、常に意識的に制御するという大変な労力が必要になる

 


人間には12の感覚がある 動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー (文春e-book)

【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
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