きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
田内 学 (著)
「お金」というものについて考えさせられることが多かった一冊です。
お金は世界中の人々をつなげるとともに、人々が支えあえる社会を実現するうえで便利なのものですが、お金自体には価値なく、お金で解決できる問題はありません。
お金というものについて、個人的に考えれば必要なものですし、たくさんほしいと思いますが、社会全体で考えれば価値がないという考え方は勉強になりました。
最近は「格差社会」という言葉が使われますが、昔と違って今は情報の格差はほとんどありません。
大金持ちだけがスマホや検索、ネット通販が使えるわけではなく、庶民も同じことができるため、地域格差はむしろ減っています。
ある人物が大金持ちだというのではなく、みんなを等しく便利にし格差を縮めるサービスを提供している会社の創業者が、結果的に大金持ちになったという事実は大切だと思いました。
また、投資も「働かずに儲けてずるい」という先入観がありますが、本当は未来への提案であり、その未来を選んでいるのは私たち一人ひとりという考え方も新鮮でした。
株や投資信託を買うことだけが投資でなく、コンビニで肉まんを買ったり、電球を商店街の電気屋さんで買うのも投資と考えれば、多くの消費者から選ばれる仕事が、より必要とされており、投資するべき仕事であることが分かります。
「働く」ということについて、「お金を稼ぐ」という言葉に自動変換されているという視点も勉強になりました。
家事や育児、介護なども働く行為であり、誰かのためになり、誰かの問題を解決しているため、働くという行為にお金が絡むかどうかは本質的には関係がないという考え方は重要だと思います。
儲からないと会社は存続できませんが、儲けること自体を目的にしたら会社は長続きしません。会社が長続きできるのは、社会の役に立っているからで、その結果として、儲けることができ、そういう会社にお金も人も集まるというのは真理です。
本書を読んですぐに何をすべきかは分かりませんが、少なくともお金の奴隷にならず、自分が応援したいものを自分で選んでお金を使いたいと思いました。

きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」【読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 総合グランプリ「第1位」受賞作】