死を前にした人にあなたは何ができますか?(医学書院)
小澤竹俊
誠実に看取りと向き合ってきた在宅医がたどりついた、穏やかに看取るための方法をまとめた一冊です。
私が相手を完全に理解することはできなくても、相手が「自分の理解者だ」と思う可能性はあり、そのために相手の苦しみを聴くことが大事という考え方は共感できました。
私は医療従事者ですが、相手の話を聴くとき、いつから具合が悪いのか、痛みはないのかといった、自分が知りたいことだけに注意が向いてしまうことはよくあります。
本当に相手が伝えたい言葉に耳を傾けるとともに、言葉だけでなく、表情などの非言語的なメッセージにも配慮して聴くことの重要性が理解できました。
以下、特に勉強になったことを抜粋しました。
・現場で援助的コミュニケーションを実践して良い聴き手になっているか否かを知るヒントに、「そうなんです」という言葉があり、これが出てきたら良い聴き手になっている証拠。
・沈黙が長いとき、相手の思考の流れを止めずに話を伺う方法として、「今は、どんなことを考えていましたか?」と聴くのがよい。
・苦しみは希望と現実の開きであり、答えることができる苦しみとそうでない苦しみがある。答えることができない苦しみは、どれほど医学や科学が進歩しても残り続けるので、その中でも穏やかになれる可能性を模索していくことが重要。

死を前にした人に あなたは何ができますか?