「どうすればよかったか」という映画を観ました

先日、「どうすればよかったか?」という映画を観ました。

実は12月に予約せずに当日券を買おうと思って行ったら、その日は全ての時間で満席となっていて観られませんでした。

12月時点では東京で上映しているのは2か所(東中野、六本木)だけでしたが、現在は7か所に増えていました。

映画『どうすればよかったか?』公式サイト
https://dosureba.com/

この映画は、面倒見が良くて優秀な姉が統合失調症になってしまった様子を8歳下の弟の視点から記録したドキュメンタリー映画です。

20年にわたって、家族の記録をビデオに残してきた対話の様子が生々しかったです。

 

 

医学部に進学した優秀な娘が突然おかしくなってしまったことを認めたくない。

医師で研究者でもある父と母は、医療機関を受診させることもなく、娘を世間から遠ざけます。

映画では、食卓での両親と姉の様子や、姉に声をかけ続ける弟、玄関に南京錠をかけて出られなくするなど、どうにもできず苦しむ家族の姿が克明に描かれていました。

※ ここからは、映画の内容に触れている部分もありますので、映画を観たいと思っている方はネタバレになるかもしれません。

 


では「どうすればよかったか?」

これは正解のない問いなのだと思います。

他人からみれば、

「早く精神科を受診すればよかった」

と簡単に言えるかもしれませんが、実際に夜中に叫び続ける姉の様子や、コミュニケーションが成立しない状況を考えたら、精神科を受診させることも簡単ではないと思いました。

両親が医者で医学知識があるからこそ、病院を受診しても改善しないと思い込んでいたのかもしれません。

映画の中では、叫んでいるとき以外は静かにTVを見ている場面や、穏やかに食事をしているところも多く描かれていて、一見すると問題がないように見えました。

家族以外にも、当時通っていた大学の関係者や親戚なども、何かできることがあったのかもしれません。

夜中に叫んでいる場合、近所の人の通報で警察や行政の介入があれば、もっと早く医療機関につなげることができたかもしれません。

時間が経過すればするほど、今までなぜ精神科を受診しなかったのか?と周囲から責められるのも不安で恐かったのかもしれません。

変化のない現状を変えようと両親を説得しようとする弟と、医者には一度見せて問題がないと言われたという母親のやりとりが描かれていましたが、他にも相談できるところがあったのかもしれません。

弟がビデオ撮影を始めたのも、何かできることをやろう、両親や姉との対話のきっかけをつくろうと考えてのことだったのかもしれません。

 

 

姉が精神科に入院したのは、発症から25年後、母親に認知症の症状が見られるようになってからです。

入院後、姉に合う薬が見つかって、3ヶ月で無事に退院できました。

精神科に入院後でも統合失調症の症状が治ったわけではないと思いますが、姉の穏やかな姿やコミュニケーションが成立して外出や買い物をしている映像をみて、本当によかったと思いました。

人間関係が希薄になっている現代社会において、誰かと対話すること、頼ること、助けを求めることの必要性を考えさせられました。

今回は統合失調症の家族の記録でしたが、病気や引きこもり、精神疾患に苦しんでいる当事者や家族など、多くの人にどうすればよかったのかを考えさせるきっかけになる映画だと思いました。

 

 


【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
お気づきの点や質問等ございましたら,どうぞご遠慮なくお聞かせくださいませ。

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