今回は訪問施術の環境について書きます。
当院は訪問施術も行っていますが、施術環境は患者さんによって様々です。
今まで経験したケースでは、
・介護用ベッド
・一般的なベッド
・ホテルのベッド
・布団
・縦長のクッションマット
・座布団二枚
・ヨガマット
・イス
などがありました。
ベッドも壁にくっついていたり、周りに物がたくさん置いてあったり、高さが低かったり、沈んでしまうものだったり、といった環境もよくあります。
鍼灸の道具についても、床に置くのか、ベッドの上に置くのか、何かの台の上におくのかによって、施術のやりやすさも変わります。
患者さんも寝たきりで動けない方もいれば、ぎっくり腰で姿勢を変えるのも大変な方、起き上がるときに介助が必要な方もいました。
私が通っていた鍼灸マッサージの専門学校では、前後左右にスペースがあるベッドでの施術しか経験しませんでした。
鍼灸の道具についても専用のワゴンに載せて行うケースしかやりませんでした。
そのため、ベッドではなく、布団やヨガマットでの施術ができなかったり、苦手な施術者が多いと思います。
ベッドでは基本的に立位で施術をすることが多いですが、布団では座位や片膝の状態となるため、施術者側の体の使い方が違います。
痛みで動けない患者さんは、ベッドからは起き上がりやすいですが、布団では起き上がり方も工夫が必要です。
他にも、クッションを枕の替わりにしたり、座布団を仰向け時に膝の下に入れたり、側臥位の足の間に挟んだりと、訪問先の環境にあるもので対応しなければなりません。
私はどうやってこれらの技術を身に付けたのか。
実は、初めて勤務した治療院がたまたま畳(布団)とベッド、両方で施術を行うお店だったため、そこで施術をしている内に、畳での施術ができるようになりました。
経験を重ねていく中で、どうやったら自分が疲れずに楽に動けるのか、どの姿勢がやりやすいのか、患者さんの姿勢はつらくないか、などを試行錯誤しながら、少しずつできるようになっていきました。
その積み重ねが訪問施術を行う上での基礎となって、どんな施術環境でも対応できるようになったのは、とても運がよかったです。
いつも同じ高さのベッドの環境での施術しか経験していないと、訪問依頼があったときに対応するのが難しいと思います。
現在、施術を行っている人で訪問もやりたいと考えている方は、ぜひ布団や畳での施術を定期的に練習することをおすすめします。