さみしい夜にはペンを持て
古賀 史健 著, ならの (イラスト)
運動も勉強もできず、緊張して顔が真っ赤になっておしゃべりもできずいじめられている中学三年生のタコジロー。
そんなタコジローが、「日記」という手段を使ってダメな自分と向き合いながら、自分の将来のために書き続けていく物語です。
SNSに疲れていたり人間関係に悩んでいる人にとって参考になる内容だったと思います。
「考えること」と「思うこと」の違いの話や、自分で考える習慣を持たず誰かが用意してくれた「わかりやすい答え」に飛びつくことの危険性、返事をもらう前提のおしゃべりでは一つの考えに集中させてもらえないといった具体的な話を出しながら、いかに自分の「あの時の気持ち」を言葉に残しておくか、丁寧に解説されていました。
タコジローはとりあえず10日間続けることを約束して日記を書いていましたが、自分の意志で続けることがなかなか難しい。
私は3年日記を3年間続けて、今は5年日記を書いていますが、日記のよさは今思っていることを書くことだけではなく、書いたものをあとから読み返した時、過去の自分があの時にどんなことを考えていたかが、未来の自分への言葉として残されていることだと思います。
たんにいやなことを書いて発散するという目的だけでなく、未来の自分のために言葉を残して、あとから「どうってことなかった」と笑い話にするためと考えたら、続けやすいかもしれません。
以下、参考になった内容を要約して抜粋。
・だれかが話を聞いてくれたらうれしい。同意してくれたり、やさしい声をかけてくれたらもっとうれしい。でも、「聞いてもらうこと」より先に「ことばにすること」の喜びがあったんじゃないかな?それは頭の中を大掃除するような気持ちよさじゃないか
・ノートの目的は黒板を写すことじゃない。あとで読み返すはずの自分に向けて、手紙のように書くものなんだ。未来の自分という読者に向けてその時の自分が思ったことを書くべき
・日記には悩み事や悪口をついたくさん書いてしまうが、そのときに大切なのはネガティブな感情とうまく処理を置くこと。湧きあがったネガティブな感情に対して、例えば「ぼくはバカだ」ではなく、「ぼくはバカだと思った」、と過去のものにすることでネガティブな感情と自分との間に少し距離ができるし、過去形で解決済みのこととして扱う
さみしい夜にはペンを持て (一般書)