星の教室
髙田 郁 (著)
戦争や病気、貧しさやいじめなど、様々な事情で中学校に通えなかった人、卒業できなかった人が再び学びなおすことができる夜間中学校の物語です。
この社会では、誰もが教育を受ける機会を与えられていますが、必ずしも皆が中学校に通学し卒業しているわけではありません。
昼間の中学は基本的にほとんどが同じ年齢の生徒ですが、夜間中学は千差万別で皆年齢や抱えている事情が異なります。
だからこそ、世の中には色んな人がいることや、様々な事情があることを知り、同じクラスの仲間から多くのことを学ぶことができます。
本書に描かれていた、生徒から戦争体験を聞かせてもらう授業は、昼間の中学校ではまず経験できないことなので、様々な生徒がいる夜間中学ならではの人生の学びだと思いました。
「まだ見ぬ友へ」という啓発ポスターや、「くじける友の手をにぎり、今宵も集う学び舎に」という言葉選びがとても好きでした。
他にも印象に残った文章を以下に抜粋します。
・学びとは、誰にも奪われないものを自分の中に蓄えるということ
・夜間中学の生徒にとって、ものを教えてくれる人は誰でも先生なんですよ
・相手を変えることは無理でも、こちらの考え方を変えれば、やり過ごしていける
・誰にかて醜うて、身勝手で、他人には見せん顔がある
学びを必要としている多くの人に本書の物語が届けばいいなと思う優しくて素敵な物語でした。

星の教室