縮んで勝つ: 人口減少日本の活路
河合 雅司 (著)
以前にご紹介した「未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること」を読んで、その後に興味があったので本書も読んでみました。
ブログ:未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/future-chronology-big-change-industry
「未来の年表」では、人口減少が各業界にどんな影響を与えるのかが中心に描かれていました。
本書では、前半は日本の人口が減少することでどんなことが起こるのか、最新の人口統計や出生率を元に改めて記載されていて、未来の年表を読んでいない人向けの振り返りになっていました。
また、高齢者に色々な負担増を求めながら、貧困に苦しむ就職氷河期世代、つまり将来の高齢者をどう支援するか、その財源をどこから確保するかという2040年問題の話が新たに語られていました。
後半の人口減少にどう対応するかについては、本書で述べられている内容でも難しいと感じました。
「外国人依存からの脱却」は、現在の人手不足問題を解消する手段として外国人雇用は外せない選択ですし、円安で日本に来る観光客が増えれば、その中の外国人が日本に住みたいと考える可能性もあるので難しそうだと思います。
女性を「安い労働力」から「戦力に」というのも、ますます少子化に拍車がかかりそうです。いかに子どもを産みたい、育てたいと思わせるか、それに皆で協力するか、そのアイディアを出す必要があると思います。大家族化の促進を促したり、引退した高齢者を活用したり、子育てしやすい環境づくりも重要だと考えています。
「従業員一人あたりの利益を高める」は、企業や経営者がどの従業員にどんな能力やスキルを身につけてもらうか具体的なリスキリング内容を業務として命令すると書かれていましたが、現状大企業で行われている黒字リストラのように40代、50代を切り捨てるような企業文化では難しいのではないでしょうか。
それよりも、企業に依存するのではなく、昔ながらの商いを個人または少数で協力して行い、継続してビジネスを続けるスタイルの方がよいと思います。
素人考えですが、個人や小規模の農家、漁業、肉屋、魚屋、豆腐屋などの食糧系、水道、電気、ガスの修理、交換などのインフラサービス系、個人経営のクリニック、歯科、薬局などの医療系など、小さい形ですがリストラや定年、減給の心配をしないですむ小規模な個人店を増やす方がよいと考えています。なぜなら、昔の人口が少ない時代はそうしていたからです。特に食糧自給率を上げるのは最優先です。
これにITやAIなどを使って効率化や機械化をどう組み合わせていくのかがこれからの課題だと思います。
人口減少が止められない社会をどう生きるか、何をするべきか。政府だけに任せるのではなく、現状維持バイアスに縛られず個々人で考えるきっかけになる書籍だと思うので、多くの人に読んでいただきたい内容でした。

縮んで勝つ ~人口減少日本の活路~(小学館新書)