ピアノの森

今回は、私がピアノを習っている先生からお借りしたピアノの本を紹介いたします。

「ピアノの森(全26巻)」 一色まこと (著)


森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公の一ノ瀬海が、かつて天才ピアニストと呼ばれながら事故で演奏ができなくなり小学校で音楽の先生をしている阿字野壮介や、ピアニストの父を持つ同級生の雨宮修平たちとの出会いの中で、ピアノの楽しさに目覚め成長していく物語です。

 

 

小学校で3ヶ月だけ一緒だった雨宮修平との出会いから全てが始まります。

雨宮との出会いをきっかけに、森でピアノを弾いていることが音楽教師をしていた阿字野先生に伝わり、そこから様々な曲を弾くようになっていきます。

本格的にピアノにはまるきっかけとなったのが、全日本学生ピアノコンクール。

コンクールの小学生の部の予選を勝ち上がったのは雨宮で、一之瀬は予選落ちでしたが、観客がスタンディングオベーションをする演奏を披露し注目を集めます。

リズムやテンポ、強弱が重視される小学生のコンクールでは一之瀬の演奏は評価されませんが、雨宮自身は一之瀬に負けていることを痛感し、そこから対抗意識を燃やしていきます。

森のピアノを弾いていればご機嫌だった一之瀬でしたが、森のピアノが壊れて弾けなくなり、さらに森で火事が起きてピアノが焼失。そこから阿字野先生とともに世界を目指していきます。

 

 

母子家庭で、ヤクザも出入りする歓楽街の森の端で育った一之瀬。

母親はホステスをしており、小学生ながらも夜のお店で皿洗いや客引きをされられるような環境から、どのようにして真っ当にピアノができる環境を整えていくか、阿字野先生の一之瀬に対する想いや、先生を慕う一之瀬の師弟関係の深さも読みどころとなっています。

また、ライバルたちとの関係も読み応えがあります。

本格的にピアノを始めることになるきっかけを作ってくれた雨宮のことを友達だと思っている一之瀬。

一方の雨宮はピアニストの父から「一之瀬に負けるな」と言われ、一之瀬のことをライバル視しています。


「ピアノは誰かと勝負するもんじゃない。勝負すべき相手がいるとしたら自分自身だ」


お互いにベストの演奏ができればよいと考えている一之瀬に対して、勝つか負けるかが評価の基準になっている雨宮。

そんな二人の歩む道がところどころで交錯しながら、本当の友となっていく過程が丁寧に描かれていました。

17歳でショパンコンクールに挑戦するのですが、その中でもライバルたちの圧巻の演奏や、審査の平等性に対する疑念など、音楽に詳しくなくても楽しめる内容でした。

 

 

私が一番印象に残ったのは、阿字野先生から小学生の海が受けた講義の話です。

以下に内容を抜粋しました。

 

楽譜と演奏家の関係は、建物の設計図とそれを作る職人との関係に喩えられる。

図面自体がどれほど素晴らしくても、それをどう捉えるかでまるで違う建物になる。

10人職人がいたら、10種類の家が建つかもしれない。

木、石、土、わら、使う材料によって全然違う。

では、ピアニストの材料はなんだろう?

例えば、ひとつは感情。

嬉しい、悲しい、すごく頭にきた、殴られて悔しい、泣きたいけど我慢した…

辛いこと、苦しいことはたくさんあるが、楽しいこと、嬉しいこともたくさんある。

辛いことは心を強くする、楽しいことは心を豊かにする。

きっとその両方が人を成長させていくんだと思う。

ピアニスト一ノ瀬海にとって、きっとムダなことなど一つもない。

 

 


ピアノだけでなく、音楽が好きな方におすすめの漫画でした。

 


ピアノの森 コミック 全26巻完結セット

【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
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