どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2
宮口 幸治 著
頑張っている人は支援しやすいが、頑張れない人こそ支援が必要、しかし頑張れない人を支援するのは簡単ではない。
本書では、主に頑張れない人がどんな風に考えているのか、頑張れない人をどう支援していくのかに焦点を当てて描かれていました。
「みんなと同じでなくてもいい」、「だから言った通りでしょ」、「どうしていつもあなたは…」、「でもな…」など、何気ない言葉や声かけが相手のやる気を奪うかがよく分かりました。
また、頑張れるを支える3つの基本の「安心の土台」、「伴走者」、「チャレンジできる環境」の話や、褒めるタイミングや内容など、勉強になることが多かったです。
本書の中で、少年院で少年から人気のある法務教官の言葉が特に印象的でした。
「まずは子どもたちに好かれないといけない。自分も学校でそうだったけど、嫌いな先生にどれだけ正しいことを言われても聞きたくない。嫌だと思う。」
「好かれるというのは決して甘やかすとか機嫌を取るということではない。子どもに笑顔で挨拶する、名前を覚えている、最後まで話を聞く、子どものやったことをちゃんと覚えている、そんな人と人との基本的な関係なのだ」
最終章に支援者への支援に対して述べられていますが、これも重要だと思うので、もう少しページ数を使って解説してほしかったです。
現代社会においては、他者との繋がりや関係性が希薄になっていて、支援者が孤立したり協力相手が見つからないことも多いと思います。
そういった支援者に対して、個人として、専門職として、社会として、どんな関わりが必要となってくるのか、見て見ぬ振りをする人たちを巻き込んでいく対応などについても考察してほしかったと思いました。
どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―(新潮新書)