産経新聞に掲載されていた日本小児科学会会長の高橋孝雄先生の記事からのご紹介です。
「小児科医は代弁者たれ」という言葉があります。
これは、うまく自分の意思を表現することができない幼い子どもや、若い母親の思いをいろんな場面ですくいあげなさいという意味だそうです。
子どもや母親が何に苦しみ、不安を感じ、どうしてほしいのか。
本人自身が気づいていないことをよく話を聞いて探り出し、くみ取って、分かりやすい言葉に翻訳して本人に返すことが「代弁」であると高橋先生はおっしゃっています。
その例として、思い込んでしまっているケースがあげられていました。
ピアノ、スイミング、英会話など、毎日毎日5つもの習い事をしている子どもが心身に変調をきたしました。
母親に
「5つは多すぎますから、まずはこれをやめさせましょう」
と伝えると、
「なぜ?全部本人がやりたいと言って始めたことなんですよ」と言われたそうです。
子どもの方もそう思い込み、刷り込まれてしまっている。
言葉で言えないから体が悲鳴を上げて伝えようとしたケースです。
また、昔と比べて子どもの数が減った分、親の「かまい過ぎ」を指摘する声もあるそうです。
この子は絶対に成功しなくちゃいけないと追い込まれて、お受験させていい学校に入れて、いい会社に入らせるという、成果物を求めすぎてしまう問題もあります。
特に母親の責任は重いと本人も感じてしまい、周りに責められてプレッシャーを感じてうつ状態になる。そんなケースも増えているようです。
高橋先生は
「長い目で見ましょう。結果なんてすぐには出ません。ヨソの子と比べても意味はありませんから」
と伝えているそうです。
ストレス社会の一端が、母親と子どもの関係からも見られる記事でした。