古くてあたらしい仕事(新潮社)
島田潤一郎
他社がやらない仕事をすることで、本当に自分が欲しくなるような本をつくる。
そんな想いでひとり出版社「夏葉社」を始めた著者の物語です。
何でも安く便利に手に入る時代だからこそ、一つひとつ手間暇をかけて、関わる人との関係を大事にする。
そんな著者の想いが伝わってくる、優しい本でした。
誰もやらないのは利益を得るのが難しいからで、それでも誰かのために本を届けたい。
効率的、合理的という言葉とは距離を置いて、誰かに手紙を書くような、そんな一対一の手紙のような本をつくろう。
身近なものに心を通わせながら、日々の仕事に取り組む著者の姿勢には好感がもてました。
本をつくるというのは、昔からある古い仕事ですが、誰かのためにと考えてする仕事は常に新しい仕事になる。
鍼灸マッサージというのも昔からある古い仕事です。
ただ、近年は車や電車などの交通機関やパソコンやスマホの普及により、便利な世の中になった反面、日常的に体を動かすことが少なくなったり、眼を酷使することが増えたり、ストレスがたまりやすい社会になっています。
そんな現代社会において、自分ができることはなにか。
効率や合理化以外でも、なにかできることはないか。
仕事への向き合い方や考え方を見直すきっかけになった一冊でした。

古くてあたらしい仕事