病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト(いろは出版)
仲本りさ
新人看護師の苦労と葛藤を、実体験を元にした言葉と、分かりやすいイラストで描いた良書でした。
特に、本書のテーマとなっている「患者さんの死」について、著者がどのように乗り越えていったのかの描写が素晴らしかったと思います。
「きよさんが教えてくれたこと 後編」では、とうとうその日を迎えるのですが、最後まで患者さんに寄り添う姿が目に焼きついており、最後は思わず泣けてきました。
そのほか、医療従事者として、以下の言葉が印象に残っています。
・患者さんが亡くなるのは怖い。
けど今は、私が受け持ちの日を選んでくれたんだなと思っている。
反対に、自分が担当じゃなかった時は、私には見せたくなかったんだなって。
・医療者はさ、患者さんと、その人を大事に想う人たちを、少しでも幸せにしなくちゃいけないんだ。今日はもう取り戻せない。だからこそ、「腕を磨く」しかない。
・患者さんのことを知ろうとすると、病名や検査結果などの医療情報が大半を占める。
そのため、患者さんの人となりに触れるチャンスはすごく少ない。だからこそ、意識的におしゃべりをして、病気とは関係なく患者さんが今までどんなふうに生きてきたのかを知りたい。それは患者さんのためというだけでなく、私たちが「病気」ではなく「人」と関わっていることを忘れないようにするため。
現役看護師イラストエッセイ 病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。