身体技法研究者の甲野陽紀さんの書籍『身体は「わたし」を映す間鏡である』からのご紹介です。
本書の「頭の考えと身体が受け取っている情報」の話が印象的でした。
頭で考える実感と身体が実際に受け取っている負荷とは必ずしも一致しない。
楽だと思って習慣になった動きをしていたら、実は身体にはそれが負担で知らないうちに疲労が積み重なるということも多々ある。
これは本当によくある話だなと思います。
例えば、「座る」という動き。
ソファにもたれて座るのが楽だと思っていたから長年そうしていたら、あるときから腰が痛くなってきた。
実は頭では楽だと思っていた動きが、腰が受け取っている負担は大きくて疲労が積み重なっていたということです。
よく患者さんに
「何か痛くなったきっかけはありましたか?」
といった質問をしますが、長年習慣になっていることなので、患者さんとしては「ソファにもたれて座る」ということがきっかけになっているとは思いもしません。
その結果、治療によって一時的に腰の緊張が緩んで痛みが軽減しても、同じ習慣を繰り返してまた痛くなってしまいます。
そのため、治療を行う際には患者さんの生活習慣や日々やっていることを丁寧に聞いて、実は身体にとっては負担となっている動きを探すことだ大事です。
そんなことを考えながら日々治療にあたっています。
身体は「わたし」を映す間鏡である