紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ(新潮社)
二宮 敦人
「競技ダンス」というあまり知られていない世界を描いた実体験を元にした物語です。
物語は、ダンス経験のない大船がダンス部として過ごした大学時代のパートと、大学を卒業してから10年後の社会人になってダンスを振り返るパートが交互に展開されていきます。
ダンスというと、のんびり楽しくやるというイメージでしたが、単に「ダンスを楽しくやる部活」ではなく、そこには技術や責任、連帯感、犠牲、貢献など、体育会系ならではの決まりや同調圧力があるというのが驚きでした。
特にパートナーを決める「固定」と「シャドー」という考え方には深い闇があるとともに、決める側、決められる側、それぞれの苦悩や罪悪感が感じられ奥が深かったです。
ダンスをやる目的も、
・音楽に合わせて体を動かすのが楽しい
・普遍的なものを見つけたい
・感情のまま踊りたい
など人それぞれで、だからこそ最も人を感動させた人が一番になるという主観的な評価になるのも頷けます。
ダンスは社会の縮図、という言葉が印象的で最期まで楽しめました。

紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ