病院でちゃんとやってよ (双葉文庫)
小原 周子
リハビリ病棟で働く看護師が、無知で無責任な患者家族と奮闘する様子を描いた医療小説です。
トイレに行けるようにしてほしい
家事ができるようにしてほしい
病院に一生入院させてほしい
年齢や病状を考慮すると病院としてできる限界というものがありますが、それが患者の家族には分からず、「治る」と考えてしまうところに、高齢社会の難しさがあると思います。
現実を受け入れて、介護サービスを利用しながら自宅で介護をするか、施設に入れるかを家族で決めなければなりません。
その場合でも、自宅に帰りたいと望む患者と、自宅での介護は無理と拒否する家族がいます。
その間に挟まれて苦悩するリハビリ病棟看護師の視点で描かれた物語は読みやすかったです。
「介護には家族の協力が必要である」ことは皆分かっていると思いますが、自分の生活と仕事も大事。
自分がその立場になったときどんな選択をするか、考えさせられる話でした。