先日、同世代(40代)の患者さん何人かと話した最近の若手の育成に関する話をいたします。
40代になると、仕事でもある程度責任がある立場になることが多く、若手の育成を任されることも増えてきます。
皆さん、最近の若手の育成はとても難しいとおっしゃっていました。
これは若手の方の能力の問題だけではなく、社会背景とも大きく関係している話でした。
何が難しいのか、ポイントをまとめてみました。
①働き方改革による残業規制の影響
②パワハラと指摘されるリスク
③生成AIで考える力が育ちにくい
④テレワークで質問や相談がしにくい
以下に、それぞれ要点を書いていきます。
①働き方改革による残業規制の影響
近年は政府が主導している働き方改革の影響で残業が規制されている企業が増えています。
もちろん無駄な残業はしない方がよいのですが、トラブル対応をしたり、新しい仕事を覚える過程において、残業が必要なケースもあると思います。
定時で帰ることに慣れていると、残業をしてでも仕事を終わらせないといけない、といった感覚が薄れてしまうのかもしれません。
私が話を聞いた方で、「システムの入れ替え作業のため、交代で土日出勤をお願いしたい」と若手社員に話したら、まだしばらく先の予定であるにも関わらず『土日は予定があるので出られません』と言われたそうです。
システムの入れ替え作業は業務時間中はできず、どうしても土日にならざるを得ないことが多いのですが、「働き方改革」といった言葉だけが先行してしまうと、必要な業務もできなくなってくるのかもしれません。
②パワハラと指摘されるリスク
ここ最近は「〇〇ハラスメント」という言葉が多く使われるようになりました。
その一つであるパワーハラスメント(以下パワハラ)について、業務範囲を越えた業務の強要や暴力、暴言、当人の尊厳を傷つける言動などは当然行われるべきではありません。
ところが、私が患者さんから聞いた話では
・期日までに依頼した仕事が終わっていないことに対する確認
(なぜできなかったの?もう少し前に相談できたのではないか?など)
・当人の成長を促すためにした発言
(〇〇についてもう少し調べてみて、別の案がないかもう1日だけ考えてみて、など)
・勤怠に関する注意
(最近遅刻が多いね、体調不良で休むときメールを送るだけはなく予定していた業務をどうするかも連絡して、など)
など、一般的な業務範囲と思われる指摘や質問、注意でも
「それはパワハラではないですか?」
と言ってくる若手社員もいるそうです。
そうなってくると、その若手社員には仕事上の注意や指摘もできず、仕事を任せられなくなります。
先輩社員としても、そんな若手社員に対して指摘や注意をしよう、という気もなくなってきます。
その結果、若手社員も育たず、仕事も進まない状況となってしまい、会社としても大損害です。
何でもかんでもパワハラと考える風潮が今後問題になってくるかもしれません。
③生成AIで考える力が育ちにくい
最近は生成AIが仕事で使われることも増えています。
業務効率化、生産性向上、コスト削減など多くのメリットもある生成AIですが、これを使うことが当たり前になると自分で考える
力が育ちにくくなるかもしれません。
例えばプログラミンの知識があって、効率的にプログラムを組むために「〇〇言語での△△処理のコードを書いて」と生成AIを使い、大まかな枠組みを自動生成したうえで必要な部分は手修正していく、というやり方ならよい使い方だと思います。
または、ある企画を考えなければならない際にどんな案が考えられるか生成AIに問いかけた上で、それを参考にしながら自分のアイディアを肉付けしていく、というやり方もありだと思います。
ところが、すべてを生成AIに丸投げして、それをそのまま仕事の成果として出す、といったやり方をしてしまう若手社員がいるそうです。
生成AIが出した結果が正しいものと決めつけて、それを精査することもなく、責任も持たない。
そうすると、自分では考える力が育たくなるのではないかと思います。
④テレワークで質問や相談がしにくい
コロナ禍において、テレワークが急速に普及しました。
感染症が流行している、台風や大雪で出社できない、小さい子供が熱を出して家で面倒を見ている、事情があって会社の遠方に住んでいる、といった状況で自宅でも仕事ができるのは大きなメリットで、とてもありがたいことだと思います。
ただ、新入社員の時からテレワークだと、ちょっとした確認や相談がしにくいというデメリットもあります。
さらに、出社して隣の席にいるにも関わらず、「〇〇の件、終わりました」と口頭ではなくチャットで連絡してくる若手社員もいるそうで、そうなってくると社員同士のコミュニケーションが取りにくくなり、業務が円滑に進まなくなる懸念もあります。
テレワークという便利な手段も、状況によっては若手社員が育ちにくい、コミュニケーションが取りにくい、といったことになるリスクがあります。
今回は「最近の若手の育成はとても難しい」ことに関して、患者さんから聞いたことを書いてみました。
どの時代も、若手の育成には苦労したのだと思いますが、時代によって大変なことは変わってきています。
今の時代、いかに若手を育成するか、考えさせられた話でした。






西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。