宮崎中央新聞の記事からのご紹介です。
宮崎中央新聞のサイト
https://miya-chu.jp/
本新聞の記事で紹介されていた料理評論家の山本益博さんの「職人仕事と完璧主義者」の話が印象に残りました。
ある寿司屋の親方が鯛をおろしながら言っていた言葉です。
「昨日までの鯛はそうじゃなかったんだけど、今おろした鯛はお腹のところにじんわり脂がのってやがってさ。海の底はもう秋なんだなってそう思ったわけよ」
この言葉を聞いて、山本さんは以下のように感じたそうです。
毎日鯛をおろすけど、おろしている鯛は毎日同じじゃない。
おろす鯛は季節によって変わる。
だから、魚から季節を先取りする。
それが職人仕事である。
毎日同じ仕事を何十年と繰り返し、仕事を究める。
でも、繰り返し同じことはしていない。
常に上を目指して仕事をする。
しかも、繰り返すほど手をかけなくていい部分が分かってくる。
だからどんどん手際がよくなる。
そうやってそのつど精度を高め、質を究めていくことで、完璧を目指していく。
この話を読んで、私がやっている鍼灸マッサージも同じ職人仕事だなと思いました。
毎日患者さんの体を触るけれど、患者さんの体は同じではない。
患者さんの体は季節、環境、ストレスなど様々な要素で変わる。
だから、患者さんの体の状態から何が起きているのか考える。
それを繰り返ししているうちに、しっかり手当てすべきところとそうでもないところが分かってくる。
だから適切な部位に、適切な刺激量を加えて、無駄のない施術ができる。
こんな境地に達するにはまだまだ何十年と経験が必要ですが、心構えとして忘れないようにしたいと思います。