先日、横浜市立大学主催の「慢性疼痛診療研修会」に参加しました。
これは、慢性的な痛みを訴える患者さんに対して、どうアプローチしていくか、どんなことを考えて治療を行っていくのか、ということを学んでいくものでした。
慢性疼痛に対しては、たんに痛いところに目を向けるだけでなく、運動や薬、食事、認知機能、心理面の影響など、様々な視点で考えていく必要があります。
今回の研修会で講師の先生がおっしゃっていた、
「慢性痛の治療目標は痛みを軽減することが第一目標ではなく、QOL(生活の質)、ADL(日常生活動作)の向上である」
という考え方は、とても共感できました。
具体的に何に困っていて、それは痛みがあるからできないのかを考えるという視点は、患者さんと話をするうえでも役に立つと思いました。
慢性疼痛に対して、薬剤性の認知症の話もあがっていました。
これは先日私がブログでも紹介した内容で、実際に臨床を行っている医師の間でも問題になっているようで、薬剤の管理や最低限の処方にすることが大事だという話を改めて実感しました。
参考ブログ:「薬剤性軽度認知障害について」
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/drug-induced-mild-cognitive-impairment/
また、ある医師の先生がおっしゃっていた言葉が印象に残りました。
「様々な問題を抱えた患者さん(今回の症例)に対して、医師ができることは限られている。
多職種のスタッフの介入が大事で、医師としては薬で悪さをしないようにすることを心掛けている」
医師に関わらず、一つの職種でできることは限られていると思います。
自分には何ができるのか、できないことに対してどう多職種と連携していくのか、改めて考えるきっかけになりました。