ボケ日和

ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?(カンキ出版)
長谷川 嘉哉

 

本書は、認知症がどう進行するか、どんな兆候があるかを知っておくことで、どんな対応をとることができるのかを4段階に分けて、段階ごとに介護者目線で解説していた良書でした。

著者が「はじめに」で説明している通り、大事なのは「患者さんよりも、介護者さんの心身を守る」ということ。

 

 

介護者さんがイライラしたり、疲れていたりすると、それが患者さんにも伝わるし、笑顔でいる時間も減って患者さんとのコミュニケーションもとりにくくなるというのはもっともだと思いました。

 

一緒にいるだけで患者さんを笑顔にできるのは家族だけ。

看られるところまで看たらそのあとは他人でもできることは介護のプロに任せ、家族にしかできない精神的なケアに専念する。

 

 

著者が言うとおり、今は介護保険制度をうまく利用して、他の人の助けを借りながら介護をする重要性が理解できました。

 

 

個人的に印象的だった内容を以下に抜粋しました。

・「お金盗った」は介護の勲章

色んなことが分からなくなっていてとても不安な患者さんは、一番一緒にいてくれて、一番頼りにしている人に意識が向いているから、嬉しいことも不安なことも、起こったことはすべてその人に結び付けて考えてしまう。つまり、「お金盗った」と言われる人は、もっとも身近で誰よりも面倒を看てくれている人だということが分かっている。

 

 

・頑張るあなたの姿を、きっと誰かが見ている

介護生活を終えても、「自分は本当にベストを尽くしたのか」と自問し続ける人がいる。そんな人に「頑張るあなたの姿を、きっと誰かが見ている」と伝えたい。特に子どもは、介護者の献身的な姿、頑張る姿を見て誰かの役に立ちたいと願い様々なことを学ぶ。

 

 


超高齢社会に突入していく中、多くの方に認知症の知識を持っていただき、介護者さんだけでなく介護保険や地域社会でも支援ができる社会になることを願ってやみません。

 

銀の猫

銀の猫 (文春文庫)
朝井 まかて

江戸時代の介抱人、今でいう介護の仕事に奮闘する女性お咲の日常を描いた物語です。

江戸時代は、短命と言いながらも、江戸では70代、80代まで生きる人も多かったらしく、家を継ぐ長男が親の介抱に当たるというのが当然という時代だったそうです。

それでも様々な事情があってどうしても長男や家族だけで見ることができない場合に介抱人に依頼します。

身体を拭いたり着替えや薬を飲むのを手伝ったり、下の世話をしたりと、行っていることは今の介護と同じです。

ただ、本書で描かれている介抱人は、3日泊りで介抱して1日休みという相当にハードな仕事で、その分、女中奉公よりも稼ぎが良いというものでした。

自分たちの目の届く範囲でほどほどに楽しんで、たまには孫の面倒を見ながら穏やかに機嫌よく過ごしてくれたら言うことはない。

これは現代においても誰もが皆、老いた親に対して抱く願いだと思いますが、江戸時代ならではの話やその難しさ、それぞれの思惑が入り混じって読み応えがありました。

介護士からプロ棋士へ

介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました(講談社)
今泉健司

奨励会を二度も退会しながらも、努力と忍耐を積み重ね41歳でプロ棋士となった男の大器晩成の物語です。

ここぞという一番で甘さが出て勝てない自分自身に対して、後悔と自己嫌悪、自己否定から自問自答を繰り返し、ギャンブルに手を出したり、何も手につかない状態になってしまいます。

そんな悪循環をいかにして脱出したのか。また、どうやって精神力を身につけたのか。
著者の凄まじい人生が細かく描かれていて読み応えがありました。

二度目の奨励会退会後に就いた介護の仕事で自信を取り戻したと著者は語っています。

相手がこちらの予期せぬ行動をとることは介護の現場では普通のことで、その都度どうすべきか必死で考えて辛抱強く対応する。

これはまさに将棋と同じであることに気付いて、自分の精神をコントロールできるようになったのは、様々な苦悩を経験してきた著者の強みだと思います。

彼女の励ましも大きかったと感じました。
「頑張ろう」ではなく「顔晴ろう」。
顔を晴れやかにした方が楽しそうでしょといって笑う彼女にどれほど励まされたか。

人は自分のためだけでなく、誰かのために戦っている方が力だ出せるのだと思いました。

夢に向かっている頑張っている人に勇気を与える一冊でした。

動くことの重要性

現代社会では、平均寿命が伸びて長生きする人が多くなった反面、麻痺や拘縮(関節の動きが制限された状態)で思うように体が動かせない人が増えています。

人間は動物であり、体を動かすことにより生活をしています。

体を動かさなくなると廃用症候群といって、筋力が落ちたり、骨がもろくなったり、心臓の機能が低下したりします。
また、うつ状態や認知症にもなりやすくなります。

体を動かすというと、スポーツクラブでやるようなマシンを使ったトレーニングやスクワット等の運動を想像する方が多いと思います。

歩く

ただ、本当に大事なのは、自分にできる範囲で、少しずつでもよいので体を動かすことが大事です。

例えば、

・寝転がりながら、足をあげたり、足首を動かしたりする


・座った状態で、足踏みや腕を振ってみる


・片方の手足しか動かない場合でも、動くほうの手足を大きく、ゆっくり動かしてみる

ということだけでもよいのです。

これらの動きで劇的な改善は難しいかもしれませんが、今より悪くならないように現状維持をするというのも大事だと思います。

参考文献:
要介護3・4・5の人のための在宅リハビリ(医歯薬出版)

要介護3・4・5の人のための在宅リハビリ

要介護3・4・5の人のための在宅リハビリ(医歯薬出版)
飯島 治 著

 

在宅リハビリの最大のテーマである「やる気を出すにはどうしたらよいか」について、解決法を追求。

リハビリテーション技術も、嚥下、食事、口腔ケア、痛みのケアから、疾患別の方法論まで、タイプ別に詳細に解説。

在宅リハビリの建前ではなく、現実問題としてどう対応するのか、著者の経験を元に具体的に提示されていたのがよかったです。

やる気のない人への対処や、腰椎圧迫骨折の痛みの評価、痛がる場合の対処法など、現場の疑問に答えるページがあったのも参考になりました。

だらけ体操もゆらゆらリハビリなど、すぐに実践できる内容も多く紹介されていました。

要介護者は高齢者が多く、リハビリをしてもなかなか短期間での改善は見込めません。

いかに、リハビリを長期間続けて、現状の機能を維持・向上していくか、そのためにはどのように働きかけたらよいかのヒントが多く詰まっていたので、介護従事者にはぜひオススメしたいです。